声明

津久井やまゆり園の事件について(会長声明)

 7月26日未明、神奈川県相模原市の障がい者支援施設において、入所者19人が殺害され、26人が重軽傷を負わされるという悲惨な事件が起こってしまいました。

 戦後最悪と言われるこの事件に際し、全ての人が人間としての尊厳を有し、価値ある存在であり、平等であることを深く認識している私たち長野県社会福祉士会は、亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、怪我をされた方々の1日も早い回復を心から願っております。

 この事件は、障がい者に対する究極の人権侵害であり、虐待であり、生命の尊厳を冒涜するものです。この行為を私たちは断じて許すことが出来ません。

 福祉の担い手であったはずの男性がこのような事件を引き起したことについて、日本の福祉の脆弱さ・未成熟さを思わざるを得ません。とりわけ、男性が元職員であるという背景を考えると、労働環境や人材育成までも含めた、日本の福祉現場の危機的な状況が露呈したものとも捉えられます。

 しかしながら私たちは、重度の重複障がいを持ちながら懸命に生きる人々のそばにいて、命の素晴らしさ、人間の尊厳の素晴らしさを深く認識しています。
 障がい者を蔑視する考えは、心のバリア(差別意識)そのものであり、社会的障壁そのものです。人を人とも思わない考え方と行動は、障がい者だけでなく、社会的弱者に対するヘイトクライム(差別意識に基づく虐待行為)です。

 殺害された19人の氏名について、ご遺族からの要望があって非公表となったとの報道がなされました。そこには、今なお障がい者に対する社会の差別、偏見に苦しむ家族の姿があり、まさに、障がいは社会の方にあると考えます。

 「この子らを世の光に」と言った糸賀一雄先生の思想は、重度の障がい者が社会の中心にいて、その人らしく生きられる社会こそが、誰もが幸せに暮らせる本当の豊かな社会であるというものです。半世紀前のこの思想も、先進国と言われる日本社会において未だ実現に至っていません。

 私たち長野県社会福祉士会は、様々な関係機関・団体等と連携しながら、人間の尊厳を尊重するという意識を、社会の隅々まで浸透させ共有し、障がいがあっても差別されない共生社会の実現を目指して取り組みます。 

  平成28年7月29日

公益社団法人長野県社会福祉士会
会 長  三 村 仁 志 

 

障がい者・高齢者の虐待防止と虐待を見逃さない地域づくりについて(会長声明)

平成27年11月の新聞報道によると、障害者虐待防止法に基づき虐待の疑いがあるとして通報した者が、事業所から損害賠償を求められ、あるいは提訴されるという事案が埼玉県と鹿児島県で起きていることが明らかとなりました。また、高齢者虐待防止法に関わる事案でも提訴されています。

障害者虐待防止法や高齢者虐待防止法では、通報者に対し不利益な取り扱いをすることを禁じ、「虐待を受けたと思われる障がい者や高齢者」を発見した場合は、速やかに通報することを国民に義務付けるとともに、従事者等の専門職には早期発見に努める義務を課しています。

厚生労働省の調査によれば障害者福祉施設従事者等や養介護施設従事者等による虐待は増加傾向にあります。また、都道府県や市町村に指定(取消)権限のない届出による有料老人ホームや法に定めのない施設、無届の施設など、あらゆる生活の場で障がい者や高齢者に対する虐待が生じています。

長野県社会福祉士会は、人々の尊厳を尊重し、安心・安全な場所で共に暮らす社会の実現に努めることを倫理綱領で定めた専門職団体です。私たちは、「虐待は極めて重大な権利侵害である」という認識のもと、司法関係者をはじめ様々な関係機関と連携し虐待防止と虐待を見逃さない地域づくりに一層取り組むことをここに表明します。

併せて、長野県行政及び市町村行政において、次のことについて取り組まれることを強く求めます。

<要望内容 略>

平成28年1月15日
会長  三村 仁志

障がい者・高齢者の虐待防止等についての会長声明(全文)   (2016-01-19・22KB)

集団的自衛権行使にかかる安全保障関連法案について(会長声明)

私たちは、「社会福祉士の倫理綱領」を遵守する長野県内の社会福祉士により組織した福祉の専門職能団体です。

この倫理綱領前文には、
『われわれ社会福祉士は、すべての人が人間と しての尊厳を有し、価値ある存在であり、平等であることを深く認識する。われわれは平和を擁護し、人権と社会正義の原理に則り、サービス利用者本位の質の 高い福祉サービスの開発と提供に努めることによって、社会福祉の推進とサービス利用者の自己実現をめざす専門職であることを言明する。』としています。

この精神は、日本国憲法の「基本的人権の尊重」「平和主義」の基本原理と全く共通するものであります。日本国憲法前文の結びには、『日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う』としています。

安全保障関連法案は、平成27716日衆議院本会議で可決され、参議院に送付されました。このままでは、集団的自衛権の行使の名の下に、我が国が他の国のために戦争をする可能性が出てきてしまいます。

長野県議会においても、「十分かつ慎重な審議」とともに「国民的な理解が得られるよう、国民の疑問や不安を 真摯(しんし)に受け止め、分かりやすく丁寧な説明」を求める意見書を可決しました。また、長野県内の57市町村議会でも「安全保障関連法案の廃案」や「慎重審議などを求める意見書」を可決しました。

私たちは、『戦争は人類史上最大の人権侵害であり、人間の尊厳を踏みにじるものである』と確信しています。私たちは、社会福祉士の名誉にかけ、全力をあげて「人間の尊厳の保持」「平和擁護」という崇高な理想と目的を追求し続けることを誓います。

よって、私たちは、集団的自衛権の行使を可能にする本安全保障関連法案について反対の意を表明します。

平成27年7月21
会長  三村 仁志